今回は自律神経と腰のトラブルの関係についてお伝えします。
ひらいボディケア御殿場院です。よろしくお願いいたします。
平成22年厚生労働省委託事業としてとある病院の先生が出した資料を参考に記述していきますね。
実は腰のトラブルで、レントゲンやMRIなどではっきりと原因が分かっているのは、なんと全体の15%しかないようです。これは特異性腰痛と言われているものです。
残りの85%が原因が特定しきれない腰痛で非特異性腰痛といわれるものです。
つまり、ほとんどは現代医学でも原因が分からないという状態なわけです。
画像で原因が分からないと原因不明と判断せざるを得ないですから、
画像で写らない、筋膜・筋肉・仙腸関節などが原因の可能性が高いですね。
腰痛の方の47%はMRIは正常のようです
生活に支障をきたす原因は、多くが心理社会的因子(心理的苦痛、恐怖回避の思考)と記されています。
今回の内容は自律神経と腰のトラブルの関係ですが、この心理社会的因子と自律神経が関係していると当院は考えております。
自律神経とは
文字通り、自律している神経のことを言います。
つまり、筋肉は自分が動かすと思って動かせますが、
内臓や血管などは自分の意思によって動かせないですよね?
このように心臓や胃腸や血管の拡張収縮などを自律してコントロールしている神経を自律神経と言います。
この自律神経は大きく分けると2種類あり、
- 交感神経
- 副交感神経
に分けられます。
それぞれ説明していきます。
- 交感神経(アクセルの神経)
活動しているときに活発になります。運動したり、仕事をしている時に主に交感神経が働いています。また、緊張したり不安を感じたりストレスを感じている時も、この交感神経が活発になります。
交感神経が活発になると、どのような影響を身体に与えるのでしょうか?
内臓の働きは低下し、血管は収縮するので血流はやや悪くなる傾向になります。
心臓の鼓動が早くなります。なお汗をかきやすくなります。
- 副交感神経(ブレーキ)
交感神経とは逆に、休んでいる時やリラックスしている時、寝ている時などは副交感神経が活発になります。
内臓の働きは活発になり、心臓の鼓動はゆっくりになります。血管は拡張して発汗は抑制されます。
なぜこのような働きに分かれているかというと、原始時代の名残です。
原始時代は狩猟生活だったので、狩りに成功するかしないかが生死を左右してました。
そのため、狩りをするときは心拍数を上げて血管を収縮して血圧を上昇させて戦闘態勢にする必要があります。他にも、原始時代は警察も病院もないので、猛獣などの危険から自分で身を守る必要があったので、交感神経を活発にして危険から逃げる必要があったため、このように副交感神経と交感神経の働きが分かれているのではと思います。
では、自律神経の働きを説明したところで、それがなぜ腰痛につながるのかについてお伝えします。
自律神経と腰痛の関係
冒頭で説明した厚生労働省委託事業のスライドによると、心理的要因や、悲観的な解釈などが、腰のトラブルの改善を遅らせると記されています。
他にも興味深いことに、脳内のドーパミンシステムの不具合も要因としてあるかもしれないと記されています。ドーパミンとは快楽物質なので、快楽を感じるときに出るホルモンです。
つまり、上記の状態は交感神経が活発に働いているときに起こる現象なので、そこに自律神経の乱れが絡んでいるということになります。
原始時代は危険が近づいているときや、狩りをするときに交感神経が活発になりましたが、
現代にはそのような場面はありません。
その代わりに、日々ストレス過多の環境に身を置いているので、原始時代よりも交感神経が活発になっているとも言われています。
将来への不安や、SNSなどの発展により、副交感神経が活発になる時間帯にスマホ画面により交感神経が活発になってしまうなど。
そうなると、交感神経が活発の場合、血管は縮小します。
腰の筋肉の血管も例外ではありません。
つまり、
腰痛→自由に動けないことによる心理的不安やストレス→交感神経が更に活発→腰の筋肉の血管が縮小する時間が長くなり血流が悪くなる→慢性的な腰痛
の負のスパイラルになるため、自律神経のコントロールが必須になってくるのです。
では、どのようにして自律神経をコントロールするのか?
自律神経のコントロール
結論から言うと、呼吸と姿勢によってコントロールします。
リラックスするときに働く副交感神経を活発にして血管を拡張するためには
- 呼吸(特にはく方を長くする)
- 姿勢(前かがみではなく良い姿勢)
この2つは副交感神経が活発になる条件でもあります。
詳しく解説していきます。
呼吸について
内臓は自分で動かせないとお伝えしましたが、唯一自分で動かせる内臓が肺になります。
つまり、呼吸を意識して行うと、肺を膨らませることができるので副交感神経を優位にすることができます。ちなみに、内臓が働くと副交感神経は優位になります。なので、食後は胃腸が消化のために動くので、副交感神経優位の状態になっているということになります。
特に吐く方を意識して長くすると、より副交感神経が優位になりやすくなります。
急に驚いたりするときは、息を急に吸い込むと思います。このときは原始時代でいう危険回避の状態なので、息を急激に吸うと交感神経が働くことがありますが、リラックスするときは、息を吐きますよね?なので、ゆっくり息を吐くことで副交感神経を優位にできるのです。
姿勢について
狩りをするときや、戦闘態勢になるときなどは、重心が前になり前かがみになりますよね?
つまり、このような姿勢は交感神経が優位になりやすいのです。つまり猫背のような姿勢は交感神経が優位になります。格闘技でも、わざと猫背のような姿勢になり、いつでも攻撃ができるように前重心になります。これは自律神経と理にかなっているのです。
逆に深呼吸したり、伸びをしたりしてリラックスするときは、胸を張り空を見上げるような姿勢になりますよね?
この姿勢の時は副交感神経が優位になりやすいです。
このような姿勢を意識すると副交感神経が優位になり、血管を拡張することができて、
腰の筋肉の血流を促進しやすくなるということです。
まとめ
いかがでしたか?
・慢性腰痛は心理社会的因子も含まれる
・心理的不安やストレスは交感神経が優位になる。→血管が収縮→慢性腰痛の原因となる
・呼吸と姿勢で副交感神経を優位にできる→血管が拡張→筋肉の血流が良くなる
意外と心理的な要因が腰痛に関係しているということがお分かりいただけたと思います。
もし何をやっても改善しない慢性的な腰のトラブルは、心理的因子が関わっているかもしれません。
ご自身の生活を振り返ってみて、思い当たる節がありましたら、ぜひ呼吸と姿勢を意識してみて副交感神経を優位にしてみてください。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました!